人間は勘違いしている。
自分には知恵があると驕っている。
誰のためでもなくそれをふりかざし、無為に生き物を殺し、壊し、脅して生きている。
時に同じ人間同士で憎み合って、
恨み合って、殺し合う。
人は、醜い。
醜くて、愚かだ。
正真正銘本物の吸血鬼・アスターが営む
喫茶店「吸血鬼喫茶」。
安直な名前とは裏腹に、
作りこまれた世界観と、
ちょっと不気味な美味しい料理が人気の
不思議な喫茶店。
友人に連れられて、彼はやってきた。
自分では物を決められず、
常に他人に流され、合わせて生きている。
毎日小さいことに何分も悩む、そんな少年。
その日も、彼は決断出来ずにいて、
そして――。
ねぇ、あなたは何が楽しくて生きてるの?
私は楽しくない。
自分が、こんな醜い人間だなんて。
楽しくない。
吸血鬼と人間。
「共存」を目指す男と、
「支配」を求める少女。
そして、「普通」の少年。
13日の金曜日。
彼らは出会い、自分の価値を問う。
当てもなく彷徨って、その答えを探す。
明星大学演劇部「劇団時間ドロボウ」
第十七回公演は一年振りのオリジナル台本。
初演出・新海新と新メンバー多数で創る
ほろ甘喫茶店ファンタジー。